青森ねぶた2009 Vol.29  〜 シリーズ 昨日[5月25日]のねぶた小屋 vol.22 〜
写真1 西日が射す『に組・東芝』のねぶた小屋。窓からの西日の輝きと、室内の露出を合わせるのに苦労した一枚。
  昨日の月曜日から、『に組・東芝ねぶた』の製作が始まった。
  当初は『ヤマト運輸』の送りねぶたの製作が難航していたため、午前中でそちらを完成させ、午後からいよいよ『に組・東芝』の小屋に移り、初日は土台作りのみという予定だったらしいが、多数のアシスタントの尽力もあり、一昨日の午後10時過ぎまでかかり、『ヤマト運輸』の送りねぶたを仕上げきることができたために、急遽予定を変更し、昨日は午前中から『に組・東芝』のねぶた小屋での作業が開始されたという訳なのだ。
  作業工程は、午前中に土台作り(写真 )が『に組』や『東芝』関係者が見守る前で行われ、午後からは、今年のねぶたである『男伊達と不動明』の、向かって右に坐す火消しの男に、纏(まとい)を持たせる行程まで、作業が進められた。

撮影日/平成21年5月25日
Picture Date
May 25, 2009
に組・東芝の製作が
始まった!
〜 西日が射すねぶた小屋 〜

 青森に暮らし、毎年ねぶたを見続けている市民でさえ、『に組・東芝』というグループの“に組”とは一体何なの?と疑問を持たれて居る方も多いのではないだろうか。多少歴史に詳しい方ならば、大岡越前守忠相が、享保5(1720)年に江戸に設えた火消し集団『いろは四十八組』から来ていると想像はつくのだろうが、では江戸ではなく、青森の『に組』とは、どんな“火消し”集団なのかということまでは、解らないというのが本当の所なのかも知れない。
『に組』に所属する横山さんの話では、『に組』とは“本庁に所属する火消しの集団”であり、本庁の消防団であるために、基本的には本庁界隈の消火活動に従事し、郊外の火事には関与しないらしい。「会社で言えば、社員にあたる人間が、現在13人居ます」とのことで、「普通、火消しと言えば、火事を消すのが好きな人間が集うんだけど、に組の場合は、ねぶたが好きな人間が多い」とのことで、その13人が正規の『に組』メンバーとして在籍しているとのことであった。そこに『東芝』の青森支店が加わったのが、『に組・東芝』とのことらしい。

 今から十年も前の話になるが、一時期、カラス跳人(はねと)なる、黒ずくめの衣装で、青森ねぶたを混乱させた若人集団が居て、毎年、ワイドショーやニュースで報道されたのを記憶されている方も多いと思う。しかし、『に組』には“火消し”で培った“修羅場を生き抜いてきた強面の屈強な男が多い”こともあり、カラスハネトでさえも『に組』のねぶたには入らなかったという逸話が残る。
「あれんども、覚(おべ)でで、に組のねぶたさだけは、入らなかったね。入れば、ぶったがれるはんでな(あいつらも、よおく覚えていて、に組のねぶたには入って来なかった。入ってくれば、に組の人間に叩かれることを知っているから)」と話してくれたのは、こちらは北村氏のねぶた製作を長年アシスタントしていきた、前出した『に組』横山さんと同じ姓を持つ横山さんの話である。
 とまれ、昨年までの村元芳遠氏に代わり、『に組・東芝』のねぶた制作を手がける北村隆の、本格的な仕事が始まったという訳である。
 西日が射す小屋の中には、テント小屋独特の夕景と、『に組』の男臭さにも似た不思議な空気が漂っていた。


写真2 『ヤマト運輸』のねぶた小屋から、徒歩にして三分ほども離れた小屋にて製作が始まった。
写真3 積み上げられた材木も、数日で減ってしまう。
写真4 まずは土台作りから始まる。三角形の木枠を土台に打ち込み、土台が動かぬように固定する。これで長方形の枠の形を保つ。
写真5
写真6 土台が曲がっていないかを、この糸にて計測する。
写真7 続いて、70センチ間隔で線を引き、ねぶたの二つの像(火消しの男と、不動明王)が載る“動かせる土台”を作るのだ。
写真8 桟敷席には、に組の幹部が集う。
写真9 70センチ間隔で四角い枠を作った上に、更に縦棒を立てる。
写真10
写真11 再び、70センチ間隔で縦と横の棒を重ねてゆく。
写真12
写真13 続いては、向かって右に座する火消し男の像の、頭部の設置をするのだ。
写真14 火消し男の顔の位置が固定すると、全体像を作ることができるのだ。
写真15 位置が決まったら、木材で固定してゆく。
写真16 続いて、先程作った“動かせる台座”に火消し男の顔を固定する。
写真17 この位置で良いのか、角度で良いのかを、北村氏がチェックする。
写真18 続いては、火消し男の身体の外観を、針金で作ってゆく。デッサンで言う、ラフスケッチに似ている。
写真19
写真20 「ん・・・?何か届いたぞ・・・」
写真21 新しい電動ノコギリである。価格は、おおよそ5万円なり。
写真22 木材を切ってみるが、その静かでしなやかな切れ味に皆がぞっとしていた。指だって、簡単に切断してしまいますからね・・・。
写真23 一方、この時間の『青森山田学園』での紙貼りの様子。もうすぐ閻魔大王が完成しつつある。
写真24 窓からは西日が射す時間となってきた。
写真25 夕陽に染まるねぶた小屋。
写真26
写真27
上・写真28 ねぶた小屋を照らす西日の照り返しが強く、カメラ(EOS 5D MarkU)に備えられた
最高値である+2の露出補正したがアンダーとなり、現在のカメラを購入して初めて
マニュアル撮影(任意でシャッター速度と絞りを調節して撮影)した苦心の一枚。
マニュアルカメラを使い慣れた私としては、実はこの撮影の方がとても馴染みやすかった。 
/ 下・写真29 今度は、火消し男の、纏(まとい)を持つ腕の取り付けだ。
写真30
写真31
写真32 ビニール窓から中を覗くとこんな様子。
写真33 今度は右腕の取り付けだ。
写真34
写真35 棒を差し込み取り付けの準備に入る。
写真36 今度は、足の取り付けの準備もする。
写真37 足首と足がくっついた。
写真38 足にも棒を差し込む。
写真39 今度は火消しの男に持たせる纏(まとい)の取り付けだ。
写真40 『に組』という文字が入る、纏の先端部分の取り付けの様子。
写真41 なんとなく纏らしくなってきたかな?
写真42 今度は、火消し男の左足の取り付けだ。
写真43 足首に足をくっつけている。
写真44 取り付けの角度を調整する。
写真45 纏の先端部分を手直しし、この日は、午後の八時に作業を終了する。
 
 
 
 
使用カメラ
撮影カメラ
EOS 5D MarkU