青森ねぶた2009 Vol.6  〜ねぶた師 北村隆が描いた2009年『に組・東芝』ねぶたの下絵〜
写真1
撮影日/平成21年1月20日
Picture Date
January 20, 2009

これが『青森ねぶた』の下絵だ!
〜1〜

『ねぶた師』と聞いて、皆さんは何を想像されるだろうか。
『ねぶた』を知らない日本人は、おそらく皆無であろうから、『青森ねぶた』に関して何かをする人だろうということは、容易に関連付くだろう。
『ねぶた師』とは、『青森ねぶたを制作する人間である』と改めて記述すると、今度は、『青森ねぶた』という『祭』を“プロデュースする人”と勘違いしてしまう方も、いらっしゃるに違いない。
 正解を言えば、『ねぶた師』とは、『青森ねぶた』のいわゆる『山車(だし)』を、『企業から委託を受けて専門に作るプロフェッショナル』を指すものである。
  大辞林によると『師[接尾]』とは、
〔1 技術・技芸などを表す語に付いて、その技術の専門家であることを表す。
「医―」「理髪―」〕とのことだから、正に『ねぶた作り』に通じた『専門家』なのだ。
  だが、『ねぶた師』の仕事は、針金や和紙でねぶた本体を製作するだけでは決してない。(このように思っている人も可成り多いのだが)
  ねぶたの設計図とも言える、『下絵(したえ)』を描くことから、毎年の『ねぶた制作』という作業が始まる。この下絵描きこそが、ねぶた師にとって、最も重要な仕事でもあるのだ。

  今年の1月の初め、私は『ねぶた師』として最も高名で秀でた技術を持つ、正にねぶた作りの名人の自宅を訪れることができた。青森市に暮らす人間であれば、知らない人間が居ないと言われるほどに、偉大な『ねぶた師』、北村隆氏である。
  毎年行われる『ねぶた祭り』において、最高に優れたねぶたと団体に贈られる『ねぶた大賞』を、これまで11度も受賞し、昨年は『ねぶた大賞』三連覇を成し遂げた、正にねぶた界の巨人と言っても過言ではないだろう。
  ねぶた祭りを撮影してきた私にすれば、あまりにも偉大な『ねぶた師』であることが最初から解っていたために、北村氏のアトリエに入り撮影をさせて貰うことなど、叶わぬ夢だと諦めていた部分もあった。躊躇に躊躇し、やっと連絡をとることができたのだが、結果、快く撮影の了承を頂いた時には正に、天にも昇る気持ちであったことは、生涯忘れることはできないだろう。
  誰が観ても美しいと感じるねぶたとその構図には、まさに北村隆氏でなければ描ききれない“ねぶたの黄金比”が潜んでいる。「絵が狂えば、ねぶたも狂ってくるんだ」と話す北村氏は、この下絵描きこそが、『ねぶた師』にとって、またねぶたの制作過程で、最も大切なものであると力説する。
  その完成した下絵の一枚を、本日は皆さんにも観ていただきたいと思う。

 本日の絵は、今年から北村隆氏が新たに発注を受けた『に組・東芝』のねぶたの下絵である。
 残念ながら、この絵に関しては、実際に筆で描いている風景を撮ることができなかった。そのため、【写真1】や【写真7】、【写真13】は、『青森山田学園』の下絵を描くスナップショットを使っている。
  撮影に際し、留意したのは、決して駅前で配られる『無料パンフレット』の小さな下絵図では窺うことができない、北村隆氏の筆遣いと紙の質感を皆さんにお伝えしたいと苦心した点だろうか。
  このように、実際に『ねぶた師』が描いた下絵を間近で目にすることは、下絵の展示会などに直接足を運び、肉眼で凝視しなければ叶わないことだが、今日のように、インターネットで公開することで、どこの誰にでも存分に閲覧して貰えるというのは、撮影した人間としても嬉しい限りである。
  これらの写真を眼にすることで、青森県内や国内の若人、広くは世界中の人々が、『青森ねぶた』に更に興味を抱き、この技術を習得し継承してゆきたいと、一人でも多くの人間が、真摯に歩み出すことを願うばかりである。

 今回のような貴重な写真を、下絵製作に集中しなければならない時にも関わらず、撮影させて頂いた北村隆氏に、私自身、心からお礼を申し上げたいと思います。

■5月2日の追記  『青森山田学園』の2009年ねぶたの下絵を公開いたしました。(左記の赤文字をクリックして下さい)
■5月3日の追記  ねぶた師・北村隆氏のねぶた小屋の進捗状況をご覧になりたい方は、こちらの頁をご覧下さい。
  尚、『2009年カレンダー』で、今後のねぶた製作の様子も、ご覧になれます。
■5月4日の追記  『ヤマト運輸ねぶた実行委員会』の2009年ねぶたの下絵を掲載いたしました。
■5月26日の追記 『に組・東芝』ねぶたの製作風景を掲載しました。
 


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写真12 これが北村氏の花押。右から『北村』と読める。
写真13
写真14 『送りねぶた』は、あの八百屋お七。16歳の少女が、放火の罪で火あぶりに処された話は、余りにも有名な悲劇。
写真15 写真2に続き、再びお七のアップ映像。おくれ髪が、なんとも艶やかで色っぽい。
写真16
 
 
 
使用カメラ
撮影カメラ
EOS Kiss X2 (EOS 450D)