2009年 暖冬の八甲田に樹氷を観た!4 モンスターたちの歓待 1
 青森県は、その名に木々の緑を象徴する“青”が付く割には、意外に名が通った山は少ない。『岩木山(標高1,625m)』、そして『八甲田(標高1,584m)』くらいだろうか。
『屋久島』と並び、日本で最初に『世界遺産』として登録され、世界的に名を馳せた『白神山地』の『白神岳(標高1,243m)』などは、『世界遺産』への登録の話が進むまでは、県内の人間でも、名称を知っている者の方が少なかったほどである。
  高校を卒業するまで弘前で暮らしてきた私にとって、地元の『岩木山(いわきさん)』こそが故郷の山であり、心の風景であった。朝起きれば、窓から岩木山が見えるか見えないかで、本日の天候を予測したりする。雨が降る日には、岩木山は不思議と曇る。山頂に冠雪が認められると、いよいよやってくる冬を、裾野に暮らす人々は知り、冬支度を急いだものだった。
撮影日/平成21年1月28日
Picture Date
January, 28 2009

うぉ!モンスターだ!! T
 
  一方の『八甲田』に関しては、快晴でなければ弘前からは望むことができない、遠く、『青森(青森市民)の山』との印象が強かった。
  事実、私が初めて八甲田山(大岳)に登ったのは、2000年の秋だった。
  当時はまだ高価で珍しかったデジタルカメラ(初代IXY-DIGITAL)を手にしたことで、ありとあらゆる身の回りの風景を撮影し、その写真を開設したばかりの自身のホームページに掲載し初めていた。八甲田への初めての登山は、その素材を撮るための、撮影旅行を兼ねていたのである。ということは、デジタルカメラを手にしていなければ、青森県に生まれながら、私は生涯この八甲田山に、徒歩で登ることはなかったに違いない。

  標高が既に900メートル以上もある『酸ヶ湯温泉』からの八甲田(大岳)登山は、頂上まで高低差が700メートル弱しかないため、傾斜も緩やかで道も整備されており、可成りの年輩者でも健康であれば登ることが可能だ。
  しかし、同じく『日本の百名山』に挙げられている『岩木山』に、標高320メートル地点にある百沢から登ることは、山登りに慣れた人間でもなければ容易ではない。1,300メートルの高低差を克服するための急勾配が続き、若く健康な人間でもかなりきついと感じるだろう。その昔は、山伏たちの修験道となっていたほどの獣道であり、山の土は滑りやすく、登山中に急に倒れ、そのまま生きて下山できなかったという事故の逸話も、そこそこ聴いている。

  このように、八甲田連峰は、山としてはいずれも緩やかな波状の稜線が形成されているために、風の流れも砂丘に吹く浜風の如く速くスムーズで、豪雪地帯という気象条件も加わり、日本でも有数の巨大な樹氷が形成されるのだろう。
  しかし、戦後二番目という暖冬のため、今年の樹氷は細く、ひ弱なモンスター達で、私がロープウェイで辿り着いた、田茂萢岳山頂附近は埋め尽くされていた。
  肥えていないだけに、木々の形がそのままモンスターの容姿として浮き出てしまう。【写真5/写真11/写真12/写真16】
  それでも、晩秋の八甲田は何度も訪れているが、さすがに真冬の八甲田に脚を踏み入れたことがない私にとっては、正に“これまで肉眼では目にしたことがない、格好の被写体"という宝の山であふれていた。
  こうして撮った、モンスター(巨大樹氷)たちの数々の映像を、本日と次回の二日に分けてアップしたいと思う。
 
  最後になるが、「明日は晴れる」との予測を立て、事前に私を撮影に誘ってくれた友人・すりぶる氏に、心から謝意を表したい。

写真1 これから登る八甲田連峰を遠方から望む。
写真2 ゴンドラとゴンドラがすれ違う瞬間の陰が雪原に映る。もっと窓ガラスが綺麗だったら、良く写ったのに・・・。
写真3 山頂に近づくにつれ、次第に木々はモンスターへと変身してゆく。
写真4 モンスターのいる山頂には、ちゃあんと十字架も用意されていた。
写真5 幾人もの命を奪ってきた山である。砂漠の中の墓標・・・。そんな気もしないでもない。
写真6 眼下に広がる雪の砂漠。この白いキャンバスに足跡を付けるのは楽しいが、結構体力を使うのだ。
写真7 うぉおお!遠眼にもンスターが一杯だ!
写真8 雪原を泳ぐサメの鰭だ・・・!! (夕景でのカットのため、多少オレンジ色をしています。)
写真9 巨大なラフレシアの花が咲く。
写真10 モンスターに近づくと、それなりの迫力がある。
写真11 これは愛らしいモンスターだ! タイトル『スピッツと遊ぶ御婦人(マダム)

写真12 地上に突き出たアオモリトドマツが、まるでニョロニョロのように道を塞ぐ。えっ!?ニョロニョロを知らない??
『ムーミン』を観た世代でないと、ニョロニョロって、判らないのかな?? (夕景でのカットのため、多少オレンジ色をしています。)

写真13 タイトル『魔女のひらめき』
写真14 とにかく、空はどこまでも蒼い!そのため、海の底に居るようでもあり、細いモンスターはさしずめ、海面へと靡く海藻のようでもある。
写真15 うおぉ!還り道は、どっちだ!?
写真16 道に迷い込んだ私に、モンスターがピースサインを出していた。
写真17 津波のごとく、天井から襲いかかってくるかのよう。
写真18 モンスターはいないが、こうして荒涼とした風景を眺めていると、とても寂しさが増してしまう。 2月25日掲載の写真10の露出を変えたものだが、
雪山の撮影は露出を僅かに変えただけで、印象がとても違う絵に仕上がってしまうから面白い。
写真19 やっと人影を見つけると、ちょっとほっとする・・・。そんな山頂の雪砂漠だ。
 
使用カメラ
撮影カメラ
EOS Kiss X2 (EOS 450D)