『2009年 青森ねぶた祭り』は既に始まっている!囃子方『海鳴(UMINARI)』の冬季練習風景 〜1〜
写真1 この写真では解り辛いが、笛には『海鳴』の金文字が描かれている。
笛の価格も“ぴんから切り” までだが、他の管楽器に比べれば、
さほど高価ではなく、 気軽に始めたいという方にはお勧めだ。
撮影日/平成21年1月27日・2月3日
Picture Date
January 27, 2009 and February 3
青森ねぶた祭り2009 vol. 1
アスパムで練習だ!

「“青森ねぶた”の特集が始まるよ!」と言ってみても、「えっ!?“ねぶた”と言えば真夏の祭典なのに、雪が積もる今から“ねぶた祭り”なの??」と驚かれる方も多いに違いない。
 その通り。この冬場なのに、既に2009年度の“青森ねぶた”は、始まっているのだ。
 本日から四回に渡って特集するのは、『アスパム(青森県観光物産館)』二階で、毎週火曜日に行われている『マルハニチロ侫武多会(ねぶたかい)』の囃子方『海鳴(うみなり)』の練習風景の映像だ。
 私が撮影にお邪魔させて頂いたのは、1月27日と2月3日の二日間だけだったが、『海鳴』では、2008年度のねぶたが終わった時点で既に、来期(2009年)に向けての練習が開始されている。
『海鳴』は、結成されてから三年目という、とても若い団体である。しかし、20年以上の指導キャリアがある人間が40名余も集い結成されているために、他の有名団体と比べても、遜色ない囃子と指導を誇っている。(注釈/数百年の歴史を持つ『青森ねぶた』だが、現在のような『ねぶた囃子』が確立されたのは、実は戦後のことであり、囃子としての歴史は非常に浅い。昭和20年代の青森ねぶたは、ねぶた1台に3〜4人の笛と肩紐にぶら下げた太鼓、【以下に文面は続く】

そして現在では欠くことのできない手振り鉦は、昭和40年代に登場するまで、山岳信仰の場など、限られた儀式でしかその姿を目にすることはなかった。)
 実際に八年間に渡り、ねぶた祭りの撮影をしていて私が感じることは、数ある囃子方の中でも、この『海鳴』は特に囃子の音色も揃い、平均年齢も若いだけに囃子も力強く、被写体として観ても、至極写り映えのする、すばらしい団体なのである。[以下の『参照映像』をクリック下さい。]
 今回の写真は、あくまで普段着姿でのスナップ映像だが、本番では、青森県を三方から囲む海を象徴するかのような蒼色をあしらった揃いの白袢纏に、これも日本国の国旗に見る陽の赤色をイメージしたアクセントが目を惹き、母体の『マルハニチロ』という食品会社の如く、とにかく新鮮で清潔なのが心地良い。[参照映像2006年8月12日 / 8月13日
 沿道を行進するその泰然たる様子は、撮っていても、鳥肌が立つほどの美しさを感じさせる。
 現在、『海鳴』の会員数は160名ほどとのことだが、本番には、常時90名〜120名程度(2008年度)の会員が運行に参加し、ねぶた本体を盛り上げる役柄を演じる。
 会員は、青森市内の他にも、八戸、弘前、六ヶ所、三戸からも集ってきており、遠方では仙台や神奈川から、わざわざ飛行機で参加してくる熱狂的な猛者会員もいるらしい。
『青森ねぶた』は、青森県人でなければ参加できないと思っている方も全国には多いだろうが、このように、祭りに興味を抱いた人間であれば、遠方でも、ある一定回数参加し、演奏の技術を習得できれば、本番での参加が可能だということは、朗報に聞こえるに違いない。(習い事なら何でもそうあるように、あくまで合同練習以外の、個人の自主練習が大切だということが前提。)
 それでは、演奏をマスターできるには、一体どのくらい掛かるのだろうか?
『海鳴』の副会長である若井暁さんの話では、笛ならば最も早い人間で、三ヶ月ほどの短期間で習得できた例もあるが、綺麗な音を出すまでには、やはり三年はかかるとのこと。ねぶた囃子をテレビなどで聴いたことがある人は多いと思うが、ただ単調に演奏しているかのように聞こえる笛や太鼓も、“単純な物ほど演奏は難しい”というのが実情のようである。
 しかし、笛は最も安い物で、3000円ほどから購入できるらしいから、何を習うにも、万円単位で、機材や道具、運動着(ユニホームを含む)などの最低限度の初期投資を必要とするのが、現代の手習い事情であることを考えると、お財布にも優しく、割と気軽に参加できるのが、囃子の練習の利点とも言える。
 しかも、『海鳴』がねぶた囃子を演奏するのは、何もねぶた祭り本番だけではなく、年に20回ほど、さまざまなイベントに招かれ、揃いの袢纏に身を包み、披露する場が得られるのだから、それだけやり甲斐、見せ甲斐があると言えるのではないだろうか。数多くの団体がある中で、1年を通したイベント参加の実績が、他の団体に比べて圧倒的に多いのも『海鳴』の特徴である。
 前記した若井さん(三十代)が幼少の時代には、ねぶた囃子は耳で聞いて盗んで覚えるものであったらしく、誰も懇切丁寧に演奏を教えてはくれなかったと言う。
 実際に私自身も、『囃子の練習』ということで、「指の動きが違う〜!」「もっと気合いを入れて叩け〜!」という声が飛び交っているのかと想像したのだが、実際にこの場所に足を運んで垣間見た光景は、まるで気の合う仲間同士の同好会(サークル)の集いのような、和気藹々としたアットホームな練習という印象しか受けなかった。
 現在、『海鳴』では、『叱らずに褒めて(演奏)技術を伸ばす』というコーチングスタイルをとっており、習い事には不可欠に思えた、スパルタ的で辛く陰鬱な訓練方法は、この団体には存在しない。
 太鼓ならば、とにかく実際に叩いてみて、あくまでも明るく楽しく、そして真摯で丁寧に教えて貰えるというのが、『海鳴』の指導方法であると感じられた。
 これならば、一緒に入会したいという仲間も居ないまま、独りで練習に加わる初心者であっても、気軽に毎週通え、仲間との交流を通じて演奏も覚えることができると確信できる。
『海鳴』では、3月31日まで、今年のねぶたに参加して下さる『囃子方』を募集しているので、ぜひ加わってみたいという方は、思い切って見学だけでもされてみてはいかがだろうか。子供の参加が制限されている団体もあるようだが、その点、『海鳴』は親子揃って、参加できるというのも嬉しい。
 特に青森市民の方であれば、誰でも一度は行ったことがある『アスパム』での練習ということで、更に通いやすさが増すように思われる。(『アスパム』の他にも、毎週ではないが日曜日には『古川市民センター(青森駅近く)』での練習も行われている。)
 因みに『海鳴』の練習は、他の団体では『ねぶた祭り』を前にした数カ月、あるいは年が明けてから訓練を積むことが多い中、前年のねぶたを終えてからすぐに練習を開始し、一年を通して71回もの練習日が平均的に用意されているため、正に一年中、ねぶた囃子に酔いしれることが可能なのだ。
 冬場のこの寒い時期、思いっきり演奏して汗を流し、日頃のストレスを発散するというのも、きっと楽しいだろう。

『海鳴のHP』 http://www.geocities.jp/hayashikata_uminari/

『青森ねぶた2009』の他の写真を御覧になりたい方は2009年カレンダーを御覧下さい。


写真2 女性も太鼓を叩く!その姿がまた勇ましく、ねぶたの見どころでもあるのだ。
写真3 太鼓の叩き方を指導している様子。『決して叱らず、褒めて上達させる』。それが『海鳴』の指導方針であり、だから気持ちよく学べるのだ!
写真4 太鼓を叩く時の姿勢を指導している様子。
写真5 バチのどこを太鼓の何処に当てると良いのか・・・。それも重要な訓練方法だ。
写真6 太鼓を叩いている自らの格好(姿勢)というのはなかなか判らないもの。こうして携帯電話で撮影して見せられると、自覚できるのだ。
写真7 とにかく恥ずかしがらずに思いっきり叩いてみる。その姿勢が大切なのだ。
写真8 真冬に汗を流し乍ら一所懸命に練習に励む。これがまた楽しく心地よいのだ。
写真9 右端の男性を指導する中央の男性の視線が、また真摯である。
写真10 「僕も負けないぞ!」
写真11 太鼓や笛と共に始める全体練習が終わると、今度は各パートに別れての練習に移る。こちらは手振り鉦の練習風景。
左端で手振り鉦を叩く仲間に合わせて、独特の楽譜を前に机を叩きリズムをとる訓練をしている様子。
写真12 実際にねぶたが運行する時と同様に、歩きながら手振り鉦を打つ練習もする。
写真13 手振り鉦は同じ位置ではなく、上下左右に動かし、笑顔で軽やかに打つのがベテラン技だ。
写真14 ガラス窓を姿見にしたてて、全身の動きを確認しながら練習している様子。窓外は一面に雪景色が広がる。
写真15 ラストは太鼓や笛と共に、全体練習で締めくくる。一時間半の練習時間は、真夏のねぶたに思いを馳せ、
演奏の技を鍛錬すると共に、仲間との交流(チームワークの確認)や、日頃のストレスを発散する場ともなっている。
 
使用カメラ
撮影カメラ
EOS Kiss X2 (EOS 450D)