2009年 暖冬の八甲田に樹氷を観た! 2 雪紋のワルツ -1-
写真1
撮影日/平成21年1月28日
Picture Date
January, 28 2009
八甲田の雪紋
 風紋(wind patterns on the sand)とは、『大辞林 第二版(三省堂)』によると『風によって砂の上にできる模様。砂紋。』とある。同じように、雪の上にできる風紋は何と言うのだろうか。
『風雪紋』?『雪の風紋』?『雪紋』? やっぱり、広義の『風紋』??
  どれにしろ、雪国で暮らす人間にとっては、幼い頃から見慣れた、吹雪の落とし物のようで、どこか寒々しい印象がある。
  私が高校時代、二年半ほど新聞配達をしていた頃は、真冬の早朝の配達では連日のように目にしつつ、不思議と“美しい”としばし立ち止まってまで眺めていたのを思い出す。その頃は既に自室にお手製の暗室を持って、本格的に写真を撮っていたため、雪が作る独特の風紋をカメラに納めたいと思いたち、カメラを取りに自宅に戻ろうと配達中に考えたことも、一度や二度ではなかった。
  まだ人気(ひとけ)のない幹線道のアスファルトの上や、個々の家々のドア口には、風の通り道に沿って、吹雪が作る小山ができており、その頂きには、真冬の怒濤のような潮頭が、毎日違った形を呈して聳え立っていた。
  雪はどこまでも白く、それでいて雪明かりに照らされた表面に、うっすらと砂紋のような模様が描かれて、感嘆させられるのだ。

 現在は、真冬の早朝に家を出る用事もなくなったし、暖冬の影響で、風紋ができるだけの寒さも風もなく、積雪自体も少なくなって、目にする機会もめっきりと減った感じがする。
  いや、目にしてはいても、生活に追われ、撮影したいと思う心の余裕や、十代に感じたような新鮮な視点が消えてしまったと言った方が正解なのかも知れない。
 八甲田で、久しぶりにその雪が作った風紋を目にした。あえて『雪紋』と呼びたい。
 パウダースノーとは、スキーが通っても決して固まらない、粉のように宙を舞うさらさら雪を指すようだが、八甲田の雪質も、まさにそのパウダースノーである。
  マクロ撮影に際し、吐く息で雪が溶けぬように呼吸を止めて撮影を続けた。撮影枚数が多かった上に、移動には新雪を掻き分ける“やぶ漕ぎ”が必要だったため、被写体を発見し立ち止まっても、息が切れて、なかなか撮影ができないという苦労もした。
  そっと観察してみると、雪の一つ一つには、あの雪印マークのような美しい結晶は見あたらない。よく言えば日本酒に入っている金箔のようでもあるし、悪く言えば頭から落ちるフケのようだ。【写真2】
  おそらく、樹氷を形成する強い突風に角を削られ転がり落ちたためだと思われるが、陽光に反射し、鏡のように光を放ちつつも、決して溶け崩れることがない美しい結晶の写真を、本日は掲載してみた。【写真4/写真9】
 それらの結晶が積み重なり、風の通り道でワルツを踊るかのように、揺らぎながら形成されるのが雪紋である。【写真1/写真5/写真8/写真11写真/写真12】
 
  天空にこれみよがしに蒼色が広がっている最中、なぜに地上にレンズを向け、ひたすら息を殺してひっそりと撮影をし続けなければならないのかとの疑問も起こったが、晴天でなければ撮れないのも、こうした結晶が反射する自然の美なのである。
  ともすれば、樹氷にだけ目が行き、そこだけを撮影して帰ってくるカメラマンも多いだろうが、こうして、樹氷を形成する結晶の一つ一つに目を向け語りかけ、その形や輝きを賛美しつつ、時間を過ごすのも楽しいようにも思われた。

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写真14 PLフィルターを使わずに、この空の蒼さが写し撮れるとは、すばらしい快晴なのだ!
 
使用カメラ
撮影カメラ
EOS Kiss X2 (EOS 450D) / EOS 1D [写真7のみ]