暮れる葛飾柴又/帝釈天 〔重くて済みません!一挙29枚を掲載!!〕
写真1
撮影日/平成20年11月7日
Taking a picture day
November, 7ht, 2008

〜 EOS Kiss X2を持って
ちょいと葛飾柴又をお散歩 〜

 故あって、画素数の多いデジタルカメラが必要となり、時期からして、そろそろ『X3』が発表される頃だとの予測はしつつも、急遽『EOS Kiss X2』を『三星カメラ』から格安で購入した。
  ネットでカメラを購入するのは初めてであったが、『価格.com』では店舗としての評価が良く、10年無料保証というアフターケアに惹かれたことも、通販購入のきっかけともなった。別料金を支払い、より保証割合の高い『三星10年保証(ゴールドタイプ)』にして貰ったが、これまで足掛け8年も使用してきた初代1Dは、画素数さえ気にしなければ10年も仕える剛健なデジカメなのに対し、この『Kiss X2』に触れた感じでは、とても10年の使用に耐えられそうには思えなかったというのが、現物が宅配便にて届き、化粧箱を開き実際に手にした率直な感想である。
  カメラ屋の店頭では時折手にしてはいたが、よく言えばとにかく軽くて小さい。悪く言えば、まるで玩具である。
  カメラを扱い慣れた人か否かは別にして、これは性格的なものが大きいらしいが、私の場合、カメラの使用前には、殆ど使説明書を読まない。本来備わっているべき機能が見あたらない時に、やっと手に取り、軽く一読するくらいであろうか。

 しかし、撮影料というプロの証を貰っている以上、さすがに購入して、すぐに本番の撮影に挑むだけの危険は冒しがたく、試写と操作方法を完全に把握するために、またカメラの特性や傾向を知るためにも、丁度葛飾柴又近くに仕事で向かうことになった7日、試写をかねて帝釈天の商店街を撮ってきた映像が、本日掲載した写真群である。
  この数年は、多くがねぶたの写真しか掲載していなかったので、私自身としても本当に久しぶりの“ねぶた関係以外のスナップショット群”であるし、カメラの特性を知ろうと、試行錯誤で撮った映像を、こうしてウェブを通じて大量にお見せすることは、おそらく初めてだろうと思われる。
  しかも撮影したのは、夕陽が大きく西に傾き、既に黄昏時となった人もまばらな帝釈天の参道であるために、気の利いたショットを狙って撮ることも叶わず、単調な絵の羅列となってしまったことは、お詫びしたいと思う。というよりも、ねぶたの映像が、あまりにも非日常的な絵なのであり、特殊な写真とも言えるのだが・・・。
  尚、掲載した写真は『写真29』を除き、総てがRAW映像で撮ったものを、専用のドライバ『Digital Photo Professional』で現像し、アドビ社の『Photoshop』にて多少レタッチした上で掲載したものであるため、この絵が『Kiss X2』のオリジナル画像そのものではないことは、お断りして置きたいと思う。

  ところで、使用した感想なのだが・・・。
  長年使い慣れてきたプロ仕様の初代1Dと比べることは論外とも言えるのだが、このカメラの長所は、軽いことと小さいこと以外に見いだすことができなかった。
  まずに視野率が『上下左右ともに95%』という現実。1Dでは『上下左右ともに100%』であっただけに、フレーミング時点で、なるべくミリ単位でトリミングをしておこうと常に構図に凝って必死だった私からすれば、切ったはずの空間や箇所が、余計に撮影されてしまっていることに、腹立たしささえ覚えていた。いらぬ空間は、構図に甘さを産み、絵としての引き締まりに欠けてしまう。シャッターを押せばどんな人間にでも撮れてしまう1億総カメラマン時代、この構図こそが、カメラを扱い慣れた人間と初心者の大きな差となって絵として表れる唯一の見せ場だけに、X2にて撮り上がった映像を液晶で確認した私は、何度も愕然とさせられてしまった。これであったら、コンデジのIXY-DIGITALシリーズの方が、視野率が100%なだけに、“しっかりとした構図を決めること”に関しては優れているとも言える。
  事実、初代IXY-DIGITALにて、私は改めて構図というものを学び続けることができたと思う。

  次に、AF性能。私の初代1Dが発売されたのが2001年の暮れだが、あれから七年が過ぎようとする現在になっても、データの理論上は廉価版『EOS Kiss X2』の方が、初代1Dを越えている筈であるが、そうは思えなかった。逆に、撮影シーンによっては、1Dの方が優れているとさえ思える箇所も多々あった。しかも9点しかない測距点の赤い点(英語のピリオドのよう)が、特に逆光時にはすこぶる確認し辛く、一体どこにピントが言っているのかを何度もシャッターを半押しにして確認したくらいである。それに比べ1Dの45もの測距点は四角く大きなためか、明らかに確認し易い。しかも『EOS Kiss X2』は、測距点とする1点を任意で決める場合の作業時間が、非常に長くかかってしまう。(これはカスタム可能か?)特に、ねぶたなどの動く被写体の場合や、人物撮影でも横位置から縦位置に変える場合、任意で測距点を変える際には、すこぶる調整に時間がかかってしまいそうで、それだけシャッターチャンスにも弱いとも予測された。
  そして画角の問題は、APS-Cサイズの有効撮影画角が約1,6倍というのは致し方ないとしても、さすがに20o以下の超広角レンズを持参しなければ、家族のスナップショットしか撮らない人間にさえも辛そうに感じる。初代1DのAPS-H(28.7×19.1mm)サイズで、1,3倍(現在の『EOS1D MarkV』はほぼ同じAPS-Hサイズの28.1×18.7mm)でさえ、大型ねぶたの山車を撮るは苦労しているだけに、『EOS Kiss X2』単体での撮影であれば、相当難儀すると予想もされる。

  続いての不満は、手動による露出補正が±2段までしかできないことである。
『写真1』は、露出を手動にて+2に補正して撮影している。が、ただ単に寅さんの銅像にピントを合わせただけの通常撮影では、銅像は夕陽の逆光に黒く潰れて判別できないほどになってしまう。つまりは±2段しかない『EOS Kiss X2』では、ストロボを焚くなどの方法をとらない限り、この絵のようには撮影できないということである。それでは、ストロボを使うことなく、どうやってこの写真を撮ったかと言うと、寅さんの顔附近で、特に明るい部分に任意で測距点の1点を合わせ、更に+2の露出補正をし、やっと撮れたものである。こうすると、明るい箇所+2の補正が行われ、通常撮影よりも可成りオーバーな露出状態が任意で作られ、撮れるという訳である。現在、±3段の手動露出補正が効くのは、キヤノンの一眼レフでは『1Dシリーズ』のみであり、今月の下旬から発売される30万円もする最新カメラ『EOS 5D MarkU』でさえ、±2段までとなっている。私は廉価版のカメラであっても、露出補正機能は最低でも±3段まで必要だと感じているほど、この機能を多用するだけに、とにかく不満で仕方がなかった。事実、他のメーカーの上位機種では±5段が常識となっているのだから、実装にさほど技術や金のかからない機能なだけに、メーカー側には早めの対応をお願いしたい。手動による露出補正は、特に逆光時やフレーム内に光度の強弱が激しい風景写真では、必須の機能であることは言うまでもない。ということは、上記のような、明るい箇所に測距点の1点を任意で合わせ撮影するという技術を知らない、特にカメラ初心者の方には、『Kiss Xシリーズ』にて、この『写真1』のような絵は撮れないということになってしまう。勿論、シャッター速度と露出を任意で自由に設定できるマニュアル撮影なら簡単なのだが、カメラを扱い慣れた人間ならともかく、初心者には可成り難しいと言えよう。

  その他にも、測光分割数が初代1Dが21(現在は63)なのに対し、X2が35と多いためか、光にとても敏感であり、こまめな露出補正をしてやらないと、綺麗な絵を撮ることは不可能に思えた。つまりは光にとてもデリケートなカメラという印象を私は受けた。この測光分割数に関しては、絶えず改良はされてはいるが、数が多いだけ自動露出に優れているとは断定できないらしい。人間の目のように、ちょうどよい絵が結果として記録されるまでには、現在の一眼レフカメラの画素数が10000万を越えるよりも、更に先のことになりそうだ。
  この『EOS KissX2』に点数をやるならば60点というのが、私の正直な印象である。より性能の良い物を追及していたら1Dとなり、廉価版とするために、価格面を考え、1Dから次々と差し引いていった結果が『Kissシリーズ』となったというのでは、余りにも寂しい気がする。
  それでも、各カメラメーカーが廉価版に力を入れているのは、交換レンズという利益率が高い商品を売り捌くための布石であり、カメラ初心者は、最初に手にしたカメラ(一眼レフ)メーカーの商品を、しばらくは使用し、交換レンズも買い続ける傾向が強いためである。
 たとえ赤字になっても、本体の価格を下げて、消耗品や備品にて利益を産むことに徹しているのが、今やデジカメの付随商品ともなっているプリンターである。揮発性の強いインクは、一年に一回、年賀状しか印刷しないという方のプリンターでさえも、確実にインクを消耗させ、需要にて潤うという仕掛けを作っている。それだけに、他のメーカーが、リサイクルインクとして、消費したインクを詰め替えただけの格安インクを発売した折には、死活問題として特許に訴え、それを斥けたりもしたのだ。

  葛飾柴又での撮影の結論としては―
  1DとX2は、車で例えるならば、レクサスのような高級車と軽自動車の違いほどもあると、その余りの格差を感じてしまったのは私だけだろうか。既にオンボロとなった私の1Dだが、このカメラのAFと切れは未だ快感であり、手にしたその存在感は圧倒的である。これは所有する人間だけが味わえる醍醐味という他はない。一方のKissX2は、今回、“新たなカメラで試写している最中”であったのにも関わらず、本来あるはずの“撮影していることの楽しさ”というワクワク感や高揚が感じられず、ただただカメラに対する不満だけが残った。
  これまでのフィルムカメラやコンデジではなく、流行りの一眼レフデジカメで、家族のスナップ写真やペットを沢山撮ってみたい、しかも格安のカメラが良い、と考えている方には購入をお勧めしたいが、本格的に写真を勉強したいというプロ志向の方には、『遠慮した方が無難ですよ』とも伝えたい・・・。
  ただ唯一、冒頭にも書いたが、“小さくて軽いという現実”は無視できず、この点だけは、高級カメラには太刀打ちできない魅力を感じた。レンズキットを購入し、一本のレンズを付けたまま、何気なく旅行に持ち歩くのには、ストロボが内蔵されていることもあり、これ以上のカメラ(一眼レフ)もないだろう。つまりは個性のある写真ではなく、記録写真用には、最適の機種だろうとも言えた。

 最後に、葛飾柴又の話になるが、私がこの帝釈天を訪れたのは2002年の正月(写真は5日6日に掲載)が最後であるから、かれこれ7年ぶりになる。
『男はつらいよ』の全作品をDVDで持っている私としては、此処はメッカのような神聖な場所であり、また懐かしい土地である。
  決して美男子ではない主人公が、昔はどこにでもあった家族や片思い相手との温かな笑いを誘い展開されてゆく物語は、その昔は人情味が豊かだった日本人の心の深淵に寄り添う形で、足掛け28年、全48作品がこの葛飾柴又の地から産み出された。
  ついに作ることができなかった寅さんの最終話は、黒柳徹子をマドンナに迎え、子供達とかくれんぼをしている中で寅さんが息を引き取るという、孫と鬼ごっこをしている最中に倒れ死ぬ、映画『ゴッドファーザー』での、マーロン・ブランド張りの設定だったらしいが、ついにその作品が完成することはなかった。
  私から観ても、帝釈天の参道には、映画が全盛期だった頃の賑わいは既になく、寅さんを知っている人の年齢も、毎年高くなりつつあるようだ。
「それじゃ桜、たっしゃでな」との声が、『写真29』に写る寅さんの口から、今も聴こえてきそうであった。

 □ 2009年3月の追記
   なんやかんやと言ってはみたものの、使いこなせばそれなりに面白い絵が撮れるカメラであることは確かなようだ。
   以下の写真を参考にされたし。すべてEOS Kiss X2で撮影された写真である。

   2009年2月15日掲載 『Canon EOS Kiss X2(EOS450D)で撮った八甲田山の樹氷
   2009年2月20日掲載 『八甲田山の樹氷 雪紋のワルツ 1』(一部、EOS1Dの映像あり)
   2009年2月25日掲載 『八甲田山の樹氷 雪紋のワルツ 2』(一部、EOS1Dの映像あり)
   2009年2月22日掲載 『青森ねぶた祭り2009 vol.1 囃子方『海鳴』のアスパムでの練習風景 1
   2009年2月15日掲載 『Canon EOS Kiss X2(EOS450D)で撮った遥かなる寒立馬 1
   2009年2月18日掲載 『Canon EOS Kiss X2(EOS450D)で撮った遥かなる寒立馬 2
   2009年2月22日掲載 『Canon EOS Kiss X2(EOS450D)で撮った遥かなる寒立馬 3


写真2 柴又帝釈天の三門が夕陽に染まる。
写真3 駅前の商店には『寅さんグッズ』が売られている。
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写真21 おかしいと思ったら、傾いた石段の上に、賽銭箱が置かれていたのである。
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使用機材
撮影カメラ
EOS Kiss X2
使用レンズ
EF16-35mm/EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS