温暖化なら更に熱い夏にしようぜ!青森ねぶた 24
写真1
撮影日/平成20年8月3日〜6日
Taking a picture day
August, 3rd through
August, 6th, 2008


青森菱友会 1
〜撮影への拘(こだわ)り 〜

 

『弘前ねぷた祭り』の場合、子供の参加者が多く、その表情や表現が豊かなために、子供達を中心にカメラを向ける時がある。しかし、中には私を不審視し、如実に嫌な顔をする親御さんも少なくない。このように、昨今の若年を対象にした犯罪増加に、神経を尖らせている方も多いのだろう。
『青森ねぶた祭り』の場合は、観光客も撮影者も多く、大人が主体の“観光のための祭り”なので、そのようなことはなかったのだが、昨年は、とある若い監視員から肩を叩かれ注意を受けた。「路上に出ての撮影は禁じられている」と言う。その忠告を無視して更に撮影を続けていると、「何度も同じ事を言わせないでよね!」と同じ人間に、今度は可成りしつこく説教された。路上での撮影は、許可が必要らしい。これまで『青森ねぶた』を撮影する際に、『撮影許可』なるもを貰ったことはなかったが、この際だから、今年からは正式に申告し、有料ならば、それなりのお金を払おうと、青森観光協会に電話を入れた。すると、電話で対応してくれた女性は、「ねぶた撮影の場合は、特別に撮影許可というものを出してませんので、どうぞ自由に撮影して下さい」と言う。
 しかも、路上に出ての撮影も自由だとのこと。ただし、ねぶたの運行の妨げや事故にならないように、それぞれが注意して下さいとの事を、丁寧に教えてくれた。これを聞いて、昨年私に口うるさく叱咤を続けた監視員の顔が、まず心に浮かんできた。
『あん野郎!今度会ったら、奴を管轄している事務所にでも行って、いい加減な事を言うな!と、逆にこっちが説教してやろう!』と心に誓っていたのだが、それとなく運行コースを見渡してはみたものの、同じ人間に会うことはなかった。
 というより、監視員と揉めている時間があるのなら、1枚でも面白い写真を撮りたかったという気持ちも強かったため、今年は前もって腕章を用意し、腕にはめて撮影を続けていた。昨年は酷い腰痛で、動きが鈍かったことも、不審人物との誤解を与えたのかも知れないと反省もしながら・・・。
  以前に『五所川原立侫武多』の撮影をしていた時である。
『五所川原観光協会会長』との襷をかけた老人から、「腕章をして撮影しなさい!」と注意を受けたことがある。「青森ねぶたでは、そのようなことは言われませんでしたよ」と言うと、「五所川原には五所川原のルールがある!」と毅然(きぜん)とした口調で翁は言い放った。お陰で、相当気分の悪い思いをして帰宅した。その一件から、『五所川原立侫武多』の撮影には行ってなかったのだが、今年は『青森ねぶた』でも使用した腕章を、正々堂々と腕に付けて、五所川原に向かったのである。

 しかし、たとえ腕章を付けていても、特に人間をしつこく撮っていると、「この人は一体何なんだ!?」と嫌な顔をされることもある。それが女性なら尚更だろう。しかもカメラマンと言うには、私はガタイがでかく、夏だから半ズボン姿だ。下手をすると、秋葉原などで、高価なカメラを手にアイドルを撮影している“お宅”系にも見えないこともない。
  ただ、私に言わせて貰えれば、女性だからこそ、より魅力的なショットを撮りたいあまり、シャッターを押し続けました、という言い訳をしてみたい。
  女性ばかりではなく、男性の写真とて、私は一人の人物を、何枚も何枚もしつこいほど撮影する。普通のカメラマンならば、二三枚の撮影で、自分を納得させるのだろうが、私は更に良いショットを撮れるのではないかと、必死なのである。
  例えば、一昨年のねぶた祭りで声を掛けて下さった、写真2〜11に写っている『青森菱友会』のAさんの場合、嫌な顔をせずに被写体になって下さるその気持ちに、私としては感謝の気持ちで一杯である。
 となると、他人が撮った写真以上に、素敵な絵にして掲載したいとの気持ちが強くなる。
 今年、私が撮影したAさんのショットの中で、『写真2』に掲載したのがベストショットであった。
『写真3』〜『写真11』は、このベストショットに辿り着くまでの、失敗作に過ぎない。ベストショットとは、勿論私の主観によるもので、他人が観たら『写真2』以外の映像がいとか言う人もいるだろう。
 なぜに私が『写真2』を選んだかと言うと、まずは、この角度からは、カメラマンの多くは撮らないだろうという希少価値である。
しかも、遠景には横笛を吹くための指揮者たる太鼓が写りこんでいる。Aさんは、この太鼓の音を右耳で聴きながら、しかも左耳で周りの笛の音と同調させつつ吹き続けているのだ。その真摯な気持ちが、写真から伝わってくるかのようである。
  同じショットでも『写真3』は、息継ぎのために口を開けたカットであるが、『写真2』よりは“笛を吹いている力強さ”を感じない。『写真4』は、後ろの『前ねぶた』を入れたカットだが、この『前ねぶた』は、Aさんが所属する『菱友会』のものではなく、彼の立場には直接関係のない背景となっているのがマイナスポイントだ。
『写真5』は、1枚の絵としてみれば採用なのだろうが、Aさんの同じカットは、以前にも撮っているため、これでは芸がない!
『写真6』はストロボの光の強さもあり、凛々しさに欠ける。
『写真7』と『写真8』は、多少時差のある同じカットで、『写真8』は笛の音色を操る指が立っていて面白く見えるが、笛を吹く口元が写っていないのがウィークポイントだ。
『写真9』は私の空間の使い方が下手で、虚空を見詰めるようになったために、力強さがない。
『写真10』は、雨が激しく降った3日に撮影したものだが、この頃には既にカメラも“シャッターが押せない”“ストロボが光らない”“ピントが合わない”などのトラブルが発生しており、これまでねぶた撮影では、AF(ピント合わせ)は常に任意選択の1点で使用し、顔面にピントが行くように設定していたのだが、この時だけは、どの場所でもピントが合えばシャッターが押せる『45点自動選択』にしていたために、よりコントラストの強い手の甲に、カメラのピントが勝手に合ってしまい、顔がぼけてしまい失敗作となった。
『写真11』は、今年から太鼓も担当するようにになったAさんが、太鼓を叩いている所を横から撮影しているが、私が持っていた16-24mmの広角ズームレンズではこれが限界だった。本来ならばより被写体に近づける標準レンズか、あるいは70mm前後のズームレンズでも使えば良かったのだろうが、持ち合わせがなかったという失態が招いた撮影ミスと言って良い。尤もねぶた撮影の場合は、とにかく歩くために、できるだけ荷物を少なくしなければ機動力が活かせないため、使うレンズは最小限度にとどめておき、その許容範囲から外れた被写体は、潔く諦めることも大切だろう。
 こんな私個人の理由から、とにかく枚数だけは撮影したものの、良い物をAさんに提供できなくて、本当に申し訳なく思っている。因みに、昨年のAさんを撮ったベストショットはこちら。しかし、この写真とて、しっかりとした構図で撮ることができなかったのが残念だった。もっと向き合う二人を中心に置くべきだったが、酷い腰痛で立っているだけがやっとの状況で、構図を変えるために素早く動くことさえできなかった・・・。

  次に『写真12』〜『写真15』に写る女性を捉えたショットに関する解説。
『写真12』は、吹奏に集中するために女性が眼を閉じているのだが、一瞬眼を閉じられてしまった失敗作に思われかねないために、掲載候補からは外していた。
『写真13』は撮影する方向を変えたのだが、これはこれで使える写真にはなっている。後方には先のAさんが写っているが、囃子方を誰か一人、起きたかった。
『写真15』は、被写体の女性が前方へとが歩き始めたこともあり、画面に動きが出ており、奥行きも良いので、使用するならこちらがベストと言ったところだろうか。『写真14』は同じ角度の時差のあるショットだが、息継ぎの一瞬を撮ったもだ。『写真15』かこの『写真14』のどちらを選ぶかは、撮影者の判断と言ったところか。
 このように、何枚も何枚も撮った中からウェブにアップしているために、モデルになっている方々にしてみれば、「たった1枚の写真のために、ここまでしつこく撮影するの?」と感じるかも知れないが、より素敵な映像を撮りたいという一心から、何枚も撮影していると、これらの映像を観て御了承頂ければと期待したい。

  またカラー写真よりも、モノクロに加工した映像の方が迫力あるという写真も多い。
『写真16』は、『写真17』をモノクロにしたものだが、普段からカラー映像を見慣れてきた私達の目には、モノクロームの方が、逆に新鮮に映る場合もある。勿論素材にもよるだろうが、同じ写真でも、手の加え方でひと味違った映像に生まれ変わるので、とても面白いのだ。

 
最後に、『写真1』の解説を―
ジャガラギと呼ばれる手振鉦(てぶりがね)は、巧い人ほど曲に合わせて上下左右に身体ごと揺らすために、フレーム内にアップで入れるのは至難の業だ。私は好んで撮影しているものの、定位置で演奏している横笛と比べれば、難易度は高く、雲泥の差がある。
この映像も、演奏者の顔と手振鉦を共に入れようとしたが、結局は失敗した。しかし、帰宅しパソコンで眺めてみると、女性の手が実に繊細で美しいし、絵としても異端で面白かったために掲載に踏み切った。
 このショットを撮るためにも、何度同じ場所でシャッターを押したことか・・・。モデルになった女性にしてみれば、「ちょっと、もうあっち行ってよ!」とレンズを塞いだのかも知れないが・・・。
 簡単に次々と写真を撮り、掲載しているようには見えるだろうが、実はその裏で、ボツになった映像は数知れない。

 明日は『青森菱友会 2』と題して、全般の映像を掲載したい。

写真2
写真3
写真4
写真5
写真6
写真7
写真8
写真9
写真10
写真11
写真12
写真13
写真14
写真15
写真16
写真17
 
使用機材
撮影カメラ
EAS-1D
使用レンズ
EF16-35mm
スピードライト580EXU/トランジスターパックE(Ni-Cd)