庭先の鈴蘭(すずらん)  〔10枚〕
写真1
撮影日/平成17年5月28日
Picture Date
May 28, 2005

花言葉は『純潔』『純愛』
そして『幸福の訪れ(再来)』

 日本名で『鈴蘭』と呼ばれるこの植物の花言葉は、『純潔』『純愛』『幸福の訪れ』『幸福の再来』と醇乎(じゅんこ)で神々しい。ヨーロッパではその形から『聖母の涙』とも呼ばれているという。
  なるほど、開花する五月頃には葉が綺麗な緑色に染まり、まるで新緑にこぼれ落ちた滴を感じさせるような可憐で儚げな花だ。
  英名の『Lily of the valley(谷のユリ)』から想像するに、人里離れた、清水がとうとうと流れる渓谷の木陰で、白い花をひっそりと輝かせ咲かせる、そんな素朴なイメージが感じられる。
  しかし、実際は日当たりの良い乾燥の少ない草原を好み、全草(特に根と根茎)には可成り“強い毒”があり、誤って口にすると胸痛・痙攣・呼吸困難・心不全をひきおこす危険性があるので要注意と、私の手元にある雑誌『四季の山野草』には書いてある。
  この本を読む以前から、「鈴蘭には毒があるから、触ったら必ず石鹸をかけて、手を丁寧に洗いなさい」と母に注意されて育った。

【文面は写真2の下へと続く】

写真2

 私の実家の庭には、昔から軒下の比較的暗い場所に、それこそ鈴なりに鈴蘭が生い茂っていた。可憐でか弱く見える割には繁殖力が旺盛で、雑草を押しのけて次々と増えてゆくのも特徴である。根の毒が害虫から身を守り、生育環境には決して恵まれているとは言えない渓谷で育つための、植物が持つ知恵なのかも知れない。事実、スズランを挿したコップの水を、誤って飲んだ子供が死亡した例も報告されている。

 ちょっと怖い話はここまでとして、ドイツでは“五月の小さな鈴”と呼ばれるその小粒の花に、そっと鼻を近づけてみて欲しい。ユリ科(『ユリ科スズラン属』)の植物らしく、とても良い芳りがする。スズランはバラ・ジャスミンと並び、世界三大芳香ともされ、古くから香水の材料として使われてきた。その代表的なのが、『スズラン香水』だろう。
  私が小学六年生の頃、修学旅行は隣県の北海道、しかも津軽海峡を挟んですぐ隣の函館市と決まっていた。
  旅行に出る際に、私は母からあるお土産を前もって頼まれた。それが『スズラン香水』であった。
  特に函館はこの香水の販売が盛んで、函館山の土産売り場などには、大小の瓶に鈴蘭の花が押し入れられた薄緑色の『香水』が、所狭しと並べられ売られていた。
  学名の『Convallaria majalis(ドイツスズラン)』の通り、スズランにはドイツ産と、北海道に自生する『君影草(きみかげそう)』と呼ばれる種があるが、北海道で『スズラン香水』造りが産業として発展したのには、地元のこの原種が大きく貢献しているこは言うまでもない。

 ドイツ産か日本の原種かは判らないが、私の実家の庭先にも、家の建て替えにより、幼少の頃よりは数は減ってはいるが、今もスズランが咲いている。
  本を読んで、ただぼおっと過ごしていた皐月のある日、気分転換に出た庭先で、このスズランが綺麗に咲いているのを目にした。
  木陰ながら陽光に照らされた花々が、薄闇のなかでそれこそ鈴のようにキラリと輝き、ねえ、私たちを撮ってよ、撮って!と鳴り響くかのように私に訴えかけてきたのである。
『EF50mmマクロ』レンズに、更に接写を可能とする『ライフサイズコンバーターEF』を取り付け、私は早速この子たちを撮影し始めた。
  最初はファインダー越しに上から撮影していたのだが(写真1)、やがてもっと変わったアングルで撮った絵が欲しくなってきた。できたら下向きの花弁の中を撮影できないものだろうかとも欲が湧いてくる・・・。
  しかし、スズランを観た方や、実際にスズランを撮影した方ならば変わるだろうが、この花を下から接写するためには、地面に後頭部をすり付けるくらいの姿勢が必要であり、実際にそのように撮ろうとすると、地中を這うあらゆる虫や、孵化したばかりの葉裏の毛虫とも顔を突き遭わせることになってしまう。
  堪らずとった撮影手段が、ファインダーを覗かずに山勘(やまかん)で撮影を続ける、いわゆるノーファインダー撮影であった。手法はこうである。レリーズを取り付けたカメラを掌に持ち、その手の甲を地面に付けて、レンズだけを被写体(今回の場合はスズランの花弁)に向け、微妙に手首の角度を変えながら、感だけを頼りにレリーズを押し続けるというものだ。
  信じられないかも知れないが、写真1と3と6以外は、すべてこのノーファインダーで撮影した映像である。トリミングなどは一切していない。何枚か撮影したら液晶で絵を確認し、フレーミングやピントが悪いようだったら、再度角度を変えて撮影するということを何度も繰り返した。
  難しいのはピント合わせで、マクロ接写なだけに、微妙なピント操作が要求され、AFでもなかなか目当ての被写体にピンが合ってはくれなかった。『EF50mm MACRO』レンズの、あの独特のジジッというピント合わせの音が、今も頭に残っている。
  この機に、巷(ちまた)に氾濫するウェブサイトから、スズランの写真だけをピックアップしてみて欲しい。スズランのこの小さな花を、下からしかも間近に撮影した写真は、ほぼ皆無に違いない。

 最後に・・・。
  フランスやイギリスでは、五月一日を“すずらんの日”として、この花を友人や知人に贈る習慣があるという。 日本でもスズランを、新郎新婦のブーケに織り交ぜることで、『幸せを祈っています』との隠れたメッセージを、友人・知人、そして愛しい我が子達へ、伝えることができるかも知れない。
  しかし、スズランの切り花に触れたら、必ず手を洗うことも忘れずに。そうでないと、正反対のメッセージを相手に伝え、あの世へと“看送る”ことになりかねないのだから・・・。

【花言葉シリーズに、2009年4月14日付けで、『桜の花言葉』を追加しましたので、緑色の文字をクリックしてご覧ください。】


写真3
写真4 
写真5
写真6
写真7
写真8
 写真9
写真10 
 
撮影カメラ
Canon EOS 1D
使用レンズ
EF50mmコンパクトマクロ+ライフサイズコンバーターEF
レタッチソフト
Photoshop CS(一部CS2を使用)
ロゴ製作ソフト
Illustrator CS/FIREWORKS MX2004
WEB製作ソフト
Dreamweaver MX2004
文章作成ソフト
一太郎2005+ATOK