※ このページは、2000-2004年まで続いたHP『津軽海渡のデジカメ紀行』に掲載していた写真や文面を、そのまま復刻させたものです。
   リンクは既に繋がっていないものが殆どであるため、その旨御了承下さい。
 
本日【2003年6月13日(月曜日)】の1枚の写真は!?
 
 
【禁花 寒咲きキンセンカ(和名 冬知らず)】
 
 
  本日は6枚の写真を掲載いたしました。


  シリーズでお送りしていた『青い森の青の季節(とき)』だが、本日は掲載を一回休み、『冬知らず』という花について述べたい。

  昨日掲載した『ニッコウキスゲ』は、茶道の席に活けられる御茶花として用いられるが、本日掲載した『冬知らず』は、茶道では『禁花』とされているものである。

『禁花』とはその名の通り、茶道の席では活けることを『禁じ』られている『花』ということになっているが、厳密に言えば『禁止されている』ということではなく、『できるだけ扱わない方が無難であろう』というニュアンスが強いようだ。
  つまりは、茶席の状況や招待する人によって活花は決めるべきであり、『禁花』も活け様によっては、有効的な使い道を見出せる花となるとの教えが含まれている。
  現に、千利休は『花の上手は何の花にても心次第なり、花に法度というは初心のためなり』と説いている。
  つまりは『禁花』としているのは、初心者のための目安であって、どんな花でも客の心と場所を踏まえ活けてやれば良いという意味にもとれる。茶は心で点(た)てよということだ。

  それでは初心者が気をつけなければならない『禁花』とは、具体的にどんな花なのだろうか。
  千利休は『花入に入れざる花はじんちょうげ みやましびきにけいとうの花 女郎花ざくろこうほね金盞花 せんれい花をも嫌う他けり』という詩で禁花を教えている。
『禁花』とは強い香りを放つもの(沈丁花・女郎花)、色彩や形がきついもの(鶏頭)、食用とする実のもの(ザクロ)、縁起の悪い名前の花(河骨/こうほね)、季節感の乏しい花(金盞花)などが含まれているようだ。
  この他にも、棘がある植物(薔薇)、どこにでも生えている桜も『禁花』とされている。
  時代によっても『禁花』に種類があり、その昔は『鳥兜/トリカブト』『木瓜/ボケ』『空木/うつぎ』『躑躅/つつじ』『曼珠沙華/まんじゅしゃげ』『南天/なんてん』『薊/あざみ』なども数えられていたが、今では『薊/あざみ』『鶏頭/けいとう』『木瓜/ぼけ』『河骨/こうほね』は使われているという。

  本日掲載した写真は、純粋な『金盞花』ではなく、『金盞花』の中でも花が直径2センチと小振りであり、-15度の気温の中でも咲き続けるとされる品種・和名『冬知らず』を撮影したものである。
  開花期間は11月〜5月と長く、同じ花が朝には開き、夕刻には閉じるを繰り返す命の長い花であるため、季節感のない『禁花』に加えられたのだろう。

  確かに茶の席では『禁花』とされてはいるが、上記の例にならってこの『冬知らず』を活けるとすれば、下記のような時なのかもしれない。
  ある知人が、左遷となってしまった。赴任先は北国の片田舎。本人は不満が募るまま辞意さえ胸に秘め、茶人である自分のもとを尋ねてくる。
  そこで茶人は、この一輪の『冬知らず』を摘んで、花入れに活け、友人を迎えこう伝えるのである。
「この花は金盞花の仲間のため茶席では『禁花』とされているものです。ですが、本日は貴方のためにあえて活けてみました。別名を『冬知らず』というこの花は、どんな寒い中でも毎日毎日花びらを開き、必死に春が来ることを願って咲きます。貴方様も、どうかこの花のように来る冬に負けることなく、やがて必ず訪れる春に向けて咲きつづけて下さい」
  和服の似合う妙齢の女性が言わずとも、この言葉に客はきっと感銘を受けるに違いありません。
  実際に千利休も、季節感はないが常に緑の葉を茂らせ荒地でも生きる松を活け、秀吉の命令で地方に赴く友人でもある武士を励まし、見送ったとされています。
  茶の席の『禁花』とは、このように扱うものなのかも知れませんね。

  本日撮影した『冬知らず』は、私の実家の庭に生えていたもので、温かな季節となり、やがて花を終えようとしている頃合の物である。花びらに木漏れ日が注ぎ、闇の中にそこだけ輝いていたものを、スポット測光で花に露出を合わせて撮影したために、このような周りが暗く沈んだ特殊な映像となっている。
  勿論、特別な照明を当てた訳でも、室内で撮影した訳でもなく、あるものを撮ったらこのような作品となってしまっただけのことなのです・・・。花は素材と光で美しさが決まるような気がしている。

〔本日の写真は青森県弘前市にある津軽海渡の実家の庭にて撮影〕

撮影日〔2003年6月9日〕

※ 撮影したRAWファイルを現像、JPEGに変換し、リサイズにより掲載。

【写真1】
 
【写真2】
 
【写真3】
 
【写真4】
 
【写真5】
 
【写真6】
 
 
使用機材
撮影カメラ
Canon EOS-1D
撮影レンズ
EF100mm MACRO + エクステンションチューブEF25
その他