※ このページは、2000-2004年まで続いたHP『津軽海渡のデジカメ紀行』に掲載していた写真や文面を、そのまま復刻させたものです。
   リンクは既に繋がっていないものが殆どであるため、その旨御了承下さい。
 
 
本日【2003年6月3日(火曜日)】の1枚の写真は!?
 
 
【青い森の青の季節(とき) 2/ブナ林の朝】
 
 
  本日は5枚の写真を掲載いたしました。


  5月15日の夕刻に『おいらせYH』に到着した私は、翌日の早朝4時30分に、プロカメラマンの鏡氏と八甲田の山麓にある谷地温泉付近のブナ林に向った。

  ここは原生林を一度伐採し、人間の手によってブナ林とされたいわゆる二次林である。
  世界遺産の白神山地に行ってみるとわかるが、太古から続く森自体は決して絵的には綺麗とは言えず、下草や笹が生い茂り、ブナ林というよりは深い森といったところだ。
  だが、この谷地温泉近くのブナ林は、雪が深いこととブナ以外の木々が伐採されていることもあり、下草が非常に少なく不規則に生えたブナの木肌が特に目立つ撮影ポイントでもある。もうすぐ関東ではアジサイが咲く季節を迎えるが、人間の手が入り、よおく手入れされているアジサイほど美しい花を咲かせるのに似ているような気がする。

  降り積もった雪は傾斜に沿って氷河のように動き、その動きに沿ってある一定方向にブナの根元は曲がっているのが窺える。積雪がブナの木を削り、ちょうど雪が積もっていた場所は白くなっているのが判るだろうか?(写真4)
「この高さまで雪があったんだよ」と鏡氏が教えてくれた。なるほど、雪が少ない地方のブナには、この白い斑点が非常に少ないことでも納得できる。

  早朝ということもあり、撮影には光量が不足し、PLフィルターを付けていたこともあって、写真1などは、三脚を用い2秒から4秒のスローシャッターで撮影したものである。奥行きを出すために、F8に絞り込んで撮影したことも影響した。
「ここではPLフィルターは付けなくてもいいんじゃないの?」
  鏡氏がそんなことを言っていたが、私の場合はたとえ日陰でもPLフィルターを付けたほうが緑がより美しく写るという印象を持っていて使用した。試しにフィルターをくるくる回すと、緑は濃くなったり薄くなったりを繰り返す。

  霧の影響もあり、森全体が新緑の薄緑色に包まれていた。
  この緑色を、私の1Dで出すにはどうやったらいいのかを相当考え、苦労もした。
  ホワイトバランスを変えてもみたが、どうにも巧くゆかない。朝の新緑を撮影するには、厳密にはカスタムによる色温度設定が必要なのかも知れない。

  写真では解りづらいが、この日は霧の他にも小雨が降っていた。
  傘をさしたり、雨合羽を着たりせずとも、濡れてびしょぬれになるほどの雨ではなかったので、カメラにハンカチを被せて撮影を続けた。
  雨が木々に纏わり付き、本来は灰色のブナの木肌がしっとりと黒色に濡れていて、それがまた白い霧とのコントラストを生んでくれる。
  耳を澄ませば聴こえてくるのは、鳥の鳴き声と、雨が若葉に降り注ぐ雨音、そして枝が折れるパキリという乾いた音だけである。

  森が確実に成長を続け、息づいているその気配を感じることができた朝であった。

〔本日の写真は青森県八甲田山麓にある谷地温泉付近にて撮影〕

撮影日〔2003年5月16日〕

※ 撮影したRAWファイルを『Photoshop』にて現像、JPEGに変換し、リサイズにより掲載。

【写真1】
 
【写真2】
 
【写真3】
 
【写真4】
 
【写真5】 若葉を透かす薄緑色の世界が、林の中にあった。
 
 
使用機材
撮影カメラ
Canon EOS-1D
撮影レンズ
EF16-35mm/FE35mm-350mm
その他
PLフィルター使用