※ このページは、2000-2004年まで続いたHP『津軽海渡のデジカメ紀行』に掲載していた写真や文面を、そのまま復刻させたものです。
   リンクは既に繋がっていないものが殆どであるため、その旨御了承下さい。
 
本日【2003年1月9日(木曜日)】の1枚の写真は!?
 
 
【花のない季節に想う/サンプル映像撮影秘話 U】
 
 
 本日は6枚の写真を掲載致しました。


『図解雑学デジタルカメラ』の135頁に掲載されている下段の2枚の写真、NDフィルターを使わなかった映像と使った映像サンプルは、本日掲載した写真1と写真2を直接Eメールで編集者に送り、印刷されたものである。

  本の中では2色刷りの小さな映像であったが、こうしてフルカラーで並べてみるとさらに印象が違って見えてくる。
  この映像は、EOS 1DとEF35-350mmを使い撮影されたものであるが、レンズ前の蝶が蜜を吸う一瞬の内に、前もって浅く装着しておいたNDフィルター越しに蝶を撮影し、続いて急いでフィルターを取り外し、連写したものである。その間、僅か3秒ほどであったろうか。
  苦労した点は、NDフィルターを装着した映像の方が、装着しなかった映像よりも出来が良くなければならなかったために、蝶の羽の開き具合、つまり蝶の可憐さが強く影響したことであろうか。
  写真1よりも2の方が、蝶の羽が多少開いて見える。それだけ見栄えが良くなるのだが、これが逆であっては意味がなかったために、何度も何度も取り直しをした記憶がある。
  蜜を求めることができる花が少なくなったこの季節、蜂やアブも混じって花の取り合いをするために、花自体に蜜が乏しくなってしまい、蝶も夏場のようにゆっくりと蜜を吸い続けてはくれない。
  花から花へと移動を繰り返すために、運良くカメラの前に止まってくれるのを待って、素早く撮影に挑まねばならなかった。
  フィルターをレンズ先端に載せる程度に装着していたために、レンズを動かすたびに下の砂地に落としてしまい、時間をかけて砂や土埃を拭き取ってから再び撮影するというこも何度も繰り返した。
  そうして撮影したのが、この2枚である。

  本ではNDフィルターを積極的に使うようにとは書いたが、文面を書いてしまってからサンプル映像の撮影に挑んだので、NDフィルターの欠点も知ることができた。
  同ページの上段に掲載されているスローシャッターによる河の流れを撮影する場合には確かに有効であるが、被写界深度を浅くして花を撮影する場合には、このフィルターが絶対的に良いとは言い切れないと知った。
  写真1と2、そして同じ条件で撮影した写真3と4をよおく目を凝らして見比べて観て欲しい。
  NDフィルターを使わない映像の方が、絵が繊細ではないだろうか。花の花弁部分を比べてみると、よおく解ると思う。
  つまり、フィルターによって絵が多少ではあるが劣化してしまうのである。

  NDフィルターによる弊害はまだある。今度は写真5と6とを見比べて欲しい。
  この映像は、ミノルタ DiMAGE 7で撮影したものであるが、明らかにホワイトバランスが狂っている。
  ホワイトバランスをオート状態にしてNDフィルターを使うと、カメラによってはホワイトバランスを変化させて撮影する機種もあるということである。キヤノンEOS 1Dではこうはならなかったことを考えると、やはり機種によって、ホワイトバランスを固定し撮影しなければならないということだろう。
  銀塩カメラではフィルムが同じために、勿論こんな現象は起こらない。

  そして写真5と6の撮影では、もう一つ弊害が起こった。
  ミノルタ DiMAGE 7にNDフィルターを取り付けて撮影すると、シャッター速度をいくら一定にしても、カメラが暗いと感じてしまい、勝手にISO感度を上げてしまい撮影するのだ。
  これもISO感度を一定に調節できるカメラであれば問題はないが、感度もオートで勝手に変えてしまう機種では、何の意味もなさなくなってしまうという例だろう。銀塩カメラでは、フィルムによって感度も一定であるから、これも自由に感度調節ができるデジカメのみの弊害と言える。

  そして、デジカメで使用する場合は、他の問題も残っている。
  それは、写真5と6、そして写真1と2を見比べて貰えば解ると思うが、CCDが小さい小型カメラで使用する場合は、あまり被写界深度に差が出ないということだろう。ディマージュ7で撮影した5と6の違いよりも、一眼レフカメラ(1D)で撮影された1と2の方が、違いがはっきりと現れている。これは、焦点距離の長さに由来している。
  現在デジタルカメラには、ディマージュ7などに代表される一眼レフタイプと呼ばれるハイアマチュア向けのカメラが売られているが、これらの機種は、焦点距離が大型カメラに比べて短く、広範囲にピントが合ってしまうようにできているため、NDフィルターを使用しても、大きくは被写界深度が変わらないのである。

  このように、NDフィルターの性能を存分に使える機種は、デジタルカメラの場合は限られてくるし、使用によって繊細な花の映像などは特に劣化してしまうから、装着レンズの最大絞り値でさえ絞りきれない特殊な被写体(太陽やスローシャッターを使わねば効果が現れない被写体)を撮影する時のみに使用するようにしたい。 

〔本日の写真は神奈川県鎌倉市にある海蔵寺にて撮影〕

撮影日〔2002年10月5日〕

※ 使用機材 Canon EOS-1D/EF35-350mm(写真1〜4)
          MINOLTA DiMAGE 7(写真5〜6)
キヤノンEOS-1Dにて撮影されたRAWファイルを現像、JPEGに変換し、リサイズにより掲載。

 
ND8フィルターなし
 
ND8フィルター使用
【写真1】
 
【写真2】
     
 
ND8フィルターなし
 
ND8フィルター使用
【写真3】 
 
【写真4】 
     
 
ND8フィルターなし
 
ND8フィルター使用
【写真5】 
 
【写真6】 
 
 
使用機材
撮影カメラ
Canon EOS 1D / MINOLTA DiMAGE7