※ このページは、2000-2004年まで続いたHP『津軽海渡のデジカメ紀行』に掲載していた写真や文面を、そのまま復刻させたものです。
   リンクは既に繋がっていないものが殆どであるため、その旨御了承下さい。
 
本日【2003年1月8日(水曜日)】の1枚の写真は!?
 
 
【花のない季節に想う/サンプル映像撮影秘話 T】
 
 
 本日は3枚の写真を掲載致しました。


『図解雑学 デジタルカメラ』の編集作業が大詰めを迎えていた昨年10月の初め、私のところに編集者のFさんより、メールが届いた。
『抜けている××頁のサンプル映像を大至急送って欲しい』というものである。
  書き上げた原稿の中から指摘のあった頁を急いで調べてみると、そこは『カメラ用語を知ろう』の中の『NDフィルター』を扱った箇所であった。製本された本のページでは、ちょうどp135の下段2枚の写真である。

  これまでデジカメを持って撮影にでかけた場合、記録メディアの容量を考え、できるだけ撮影に失敗したコマは、液晶を観ながら即時に削除してきた。現在のように1GBのマイクロドライブを主体として使っていなかった頃は、125MB程度のCFでの撮影枚数を確保するために、IXY-DIGITALやDiMAGE 7では、日に何度となく行っていた作業である。

  撮影した数枚の中から、特にできがいいと思えたものを1,2枚残し消去する・・・。デジカメを持ってる人間であれば、誰でも行ってきた行為が、この『図解雑学 デジタルカメラ』を執筆するにあたっては仇となってしまっていた。
  掲載する写真には、特に成功した映像ばかりではなく、失敗した映像も比較映像として必要となってくる。そのことに気づいて、今では明らかに失敗だと感じた映像も残すようになったが、この本を書き進むまでは、皆一応に消去してしまっていたのだ。
  減光フィルターであるNDフィルターを使った作例も同じであり、フィルターを使った映像と使わなかった映像を撮影時に見比べ、気に入らない方を消してきたのだが、ここにきてその消去した映像がとてつもなく貴重だった事に気づいても、既に遅かった。

  減光フィルターを付けることによって、被写界深度が異なった映像を新たに撮影しに行かねばならなくなり、メールを貰ってから秋雨の中、数日間天候が回復するのを待って、早速花の都でもある鎌倉へと出かけたのが10月の5日であった。

  しかし、いくら鎌倉とは言え、10月に入ってからは、寺院の境内に咲く花の量もめっきりと減ってしまう。
  9月の終わりには最盛期を迎えていた秋の花・彼岸花も殆どが枯れ落ちており、かろうじて盛りを過ぎた花に、蝶が貼り付き、蜜を吸っている様子が窺えただけである。(写真1)

  被写界深度とはピントの合って見える範囲であり、F値を絞り上げることで、その範囲は広がる。
  NDフィルターは減光フィルターとの別名通り、レンズ先端に付けることでCCDに入る光の量を減らし、F値を下げて被写界深度を浅くする作用があるが、その比較映像はやはり花でなければ馴染めないようにも思えた。つまり、テーブルの上に並べたグラスでは、決して実用的ではない。

  北国津軽であれば、コスモスがかろうじて咲いている季節であったが、この花を最後に、津軽の野からも野花が消える端境期である。いくら温かな鎌倉とは言え、撮影にふさわしい花を捜すのは骨が折れた。

  浄光明寺で萎れた彼岸花の撮影をし、今度は海蔵寺に向かう。
  此処は常に手入れされた花が目線よりも低い場所に咲いているため、撮影に好都合の場所であった。(写真2と3)
  それに比較映像の撮影のためには、撮影場所を移動させない工夫が必要であり、そのためには三脚が必需品となってくる。最近は多くの寺が三脚を使っての撮影を禁じているが、海蔵寺は寛大な住職の配慮もあってか、三脚が自由に使用できるのはありがたい。

  という訳で、『図解雑学 デジタルカメラ』のp135に掲載してある比較映像の撮影に入るわけだが、掲載してある蝶の映像は、動く昆虫を写したものだから、そう簡単に撮れる筈がなかった・・・。

  雑誌の中では、F値調整が巧くできないコンパクトデジカメのためにNDフィルターの使用を薦めてはいるが、もしもあなたが一眼レフやF値が自由に変えられるデジカメをお持ちであれば、レンズ側で絞りを調節し、なるべくならばこのフィルターは使用しない方がいい。その理由は・・・
  この続きは明日、実際に『図解雑学 デジタルカメラ』に掲載した写真と共に解説したい。

  一月になって、鎌倉は蝋梅(ろうばい)が美しい季節となっている。この小さな花に花を近づけて、その匂いを嗅いでみると、見た目には似合わない高貴な香りがする。いや、高貴というよりも、私の世代にしてみればプラモデルの接着剤であるセメダインの匂いに近いと言った方が判りやすいと思う。小粒の割には、つーんとした独特の刺激臭がする。
  蝋梅以外は、かろうじて木瓜(ぼけ)や、場所によっては牡丹(ぼたん)が咲いているくらいであろうか。

『抜けている××頁のサンプル映像を大至急送って欲しい』というメールが、今の季節でなかったことがせめてもの救いであったように思う。
  これから2月3月にかけて梅が咲き、それからひと月もしないでいよいよ桜が咲く・・・。
  だからこそ、花のない今の季節に、想うものが殊更大きいのかも知れないが・・・。

〔本日の写真は神奈川県鎌倉市にある浄光明寺(写真1)と海蔵寺(写真2と3)にて撮影〕

撮影日〔2002年10月5日〕

※ 使用機材 Canon EOS-1D/EF35-350mm/SIGMA MIRROR 600mm 
キヤノンEOS-1Dにて撮影されたRAWファイルを現像、JPEGに変換し、リサイズにより掲載。

【写真1】 『SIGMA MIRROR 600mm』でMF(手動でピントを合わせ)撮影。
シャッター速度は320分の1。こんなマクロ撮影で、しかも三脚を使わず全くの手持ちだけで、
よく忙しく花の上を動く蝶にピントが合わせられ、大きくブレもしないで撮影できたと、
撮りあがった絵を観て自分自身関心した映像である・・・。
因みに私の場合、撮影の間は、全く息継ぎをしていない・・・。
だから撮影を終った後は、ぜいぜい息を荒げているのだが、
そんな様子を、側に居るカメラマンが怪訝そうに見ている様子が、
またまた楽しいのだ・・・( ̄▼ ̄)ノ_彡☆バンバン!
 
【写真2】
 
【写真3】
 
 
使用機材
撮影カメラ
Canon EOS 1D